もはやトリビア!? 「赤いあの子」にまつわる新事実!
公園でベンチやコンクリートに座ってのんびりしたりしているとやってくる「あの子」。そう、赤いダニさん!!30年以上暮らしていて全然意識したことはなかったのですが、「あの子」に関する論文が出ていましたので、本日はゆる〜い論文紹介です。完全にトリビアな世界です笑
誰が書いた論文なん??
論文のタイトルは、
The flashy red color of the red velvet mite Balaustium murorum (Prostigmata: Erythraeidae) is caused by high abundance of the keto-carotenoids, astaxanthin and 3-hydroxyechinenone
(春先、コンクリート壁でみかける派手な赤いダニは、なぜ赤い?~法政大学と京都大学の研究グループが真っ赤な体色の原因を解明~)
法政大学自然科学センターと京都大学大学院の共同出願ですね。
まずなんですが。論文出願者には大変申し訳ないですが、めちゃくちゃニッチな論文ですよね!! iPS細胞やゲノム編集など生物学も熱い分野がある中で、このニッチ感!いいですよ〜〜。決してバカにしているわけではなく、実用的な研究だけではない、こういう幅広い研究がキチンとなされていることが重要なんだよね〜と心から感じます。何事も、多様性が大事なんです!!研究費をとるのは、とても大変そうですが・・・笑
さて、本日の論文の内容に戻ります。
どんな論文なん??
まずは、今回の主役の「あの子」について・・・
春先のコンクリート壁でみつかるあの赤いダニの名前は、「カベアナタカラダニBalaustium murorum (Hermann)」。アナタカラダニ属に所属し、花粉を主な食料とすしているんだそう。花粉食べるって、なんか妖精みたいで可愛いっすよね〜〜。全然害がない感じ!!3月に孵化し活動を始め、梅雨の時期に卵を産んで、次の春まで卵で休眠するライフスタイルなんだそう。
なぜ赤い目立つ色なのか? そんなに赤くて、捕食者に見つかったりしないの?? 世界中で疑問を持つ人が多いにもかかわらず、科学的に調べられたことがなかったそうで。この論文が、ついにその疑問に切り込んだわけです!!いよっ!!
今回の論文で何がわかったのよ??
この赤いダニさん。生きる上で一番の悩みは、コンクリートでの暑さに耐えることなんですって!!生存活動の中心である春先は、①紫外線が強い!!②輻射熱で40度以上になる!! これは小さな彼らにとって、たしかに過酷な環境・・・
そこで手に入れたのが、あの赤い体!!あの赤さの色素成分を分析した結果、
抗酸化作用をもつケトカロテノイドである「アスタキサンチン(60%)」と「3-ヒドロキシエキネノン(38%)」と、少量の「β-カロテン(2%)」から構成されていたことが判明。
つまりですね、紫外線と高温の環境に耐えるために、「抗酸化作用を持つ赤い鎧」を手に入れたというわけなんですね!!!なんかカッコいい!!この赤い抗酸化成分を食事の花粉から集め、身にまとって過酷な環境を乗り越えているんですって。人間でいう、日焼けとかに近い感覚なのかもしれないですね〜
そして、もう一つの疑問。「あんなに赤くて捕食者に見つからない?」ってやつ。これについても、人間が心配しなくても大丈夫なんですって! というのも、この赤いダニさんを食べるアリや捕食性カメムシなどは、赤に対する視細胞を持っていないため、見つかる原因にはならないんですって!!アリとかカメムシって、赤が見えないんだ!?そこにびっくりでした! だから赤い個体は生き残ってこられたんですね〜 よくできてる!!
ということで、本日は我々の生活にほとんど関わることがない「赤いダニ」についての、新事実を解き明かした論文のご紹介でした!・・・トリビアですかね?笑
たまには、ゆる〜い論文紹介です。
本日もお付き合いいただき、ありがとうございました。
それでは、また。
こちらの論文紹介もよろしければ。