本物か、偽物か。それが問題だ・・・
みなさんは絵はお好きですか? 好きな画家さんの絵をゆっくり眺めたりすると、なんとも言えない幸福な気分になれますよね! しかーし!! 展示されている作品が、実は偽物だったら・・・? 我々素人には、正直まったく判別なんてできないですよね・・・。
本日は、そんなアートと贋作をめぐるお話。
ご紹介する番組はこちら。
90分と少し長いですが、贋作を見破る最新技術や贋作のプロのインタビューなど、とっても興味深い内容でした!!何回かに分けてご紹介しようと思うのですが、本日は近年のアート界の重大事件!「ルフィニ贋作事件」について。
まずは、フランスには贋作を専門に取り締まる国家組織があることをご存知ですか?その名も「フランス文化財密売取締本部」!!通称OCBC!!つまりは贋作Gメンというわけですな。さすが芸術の国フランス!!
このOCBC。ひと昔前までは、アート作品の盗難を多く扱っていたんですって。ところが、ここ10年で贋作がとっても多くなり、いまでは事件のなんと7割が贋作関連だそう!!贋作師が扱うジャンルや対象にする画家が着実に増えているのが原因みたいです。ずっと昔から贋作って多く存在していたのかと思いきや、ここ最近で贋作が爆増しているとは・・・。
で、今回のアート界を震撼させた「ルフィ二贋作事件」。まだ未解決事件だそうで。これ、なんで「アート界を震撼させた」かといいますと、
美術館で展示されている作品が必ず本物だ!!という信頼が崩れてしまったこと
に事件の本質があります。
どういうことなのでしょうか・・・。
事件の概要をざっくり説明しますと、
リヒテンシュタインの館(という美術館)は10年前に画家ルカスクラーナハが描いた『ヴィーナス』という作品を本物だと判断し、9億円で購入。しかし、この絵は贋作の疑いでOCBCに押収されてしまいます。この絵の販売には、自称アートコレクターのジュリアーノ・ルフィニという美術コレクターが関わっており、その他様々な中世の名画の販売に関わっていることも判明しました。つまり、ルフィニを介して購入した絵が芋づる式に「贋作かもしれない作品」となってしまったわけです。これは米メトロポリタン美術館や英ナショナルギャラリーといった世界的にも名門の美術館に収蔵されている作品も該当してしまいました。アートのプロ中のプロたちが鑑定していた、にも関わらずです・・・。中には贋作が決定してしまった作品も・・・。
つまりですね、いま展示されている作品は、本当に本物なの?実は贋作なの? というのが曖昧になってしまったのです!!
これは確かに、「美術品の価値の信用」の根幹に関わる大事件。オークションなどで数億円とかで絵画は売買されますよね。その価値の担保も、プロの鑑定による「本物」というお墨付きなわけです。その鑑定結果が「信用できない」とすると、絵画市場は成り立たなくなってしまう!!!ぎゃー!! というわけなんです。
この『ヴィーナス』の鑑定結果についても、押収後研究機関にて鑑定が行われました。しかし、結果は「贋作である可能性が高いが決定的な証拠はなし」というひどく曖昧なものでした。購入したリヒテンシュタインの館はこの鑑定結果を受け入れず、本物であると主張していて、絵の返還を求めています(OCBCに押収されたままなので)。このルフィニという人物も書面でコメントを発していたので、おそらく捕まっていないのだと思います。今後の事件の行方はどうなるのでしょうか・・・?
贋作を判別する鑑定技術も日進月歩で向上し続けているのですが、今回のような断定できない結果になることも。「本物のアートの価値」と「それを毀損しかねない贋作師」の戦いは続くのです。進歩している贋作鑑定技術や贋作師についても、おいおいご紹介しようと思います。
本日もお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
超絶寒いですので、ご自愛ください。
それでは、また。